「メタルポジション」という言葉を聞いたことはありますか?カセットテープには複数の「ポジション」と呼ばれる規格があり、その中で最高峰に位置するのがメタルポジション(TypeIV)です。音質にこだわるオーディオファンから長年にわたって愛され続けてきたこの規格は、現在では新品での入手が困難な希少品となっています。本記事では、メタルポジションの技術的特徴から見分け方・再生方法・保管方法・入手先まで、初心者にも分かるよう徹底的に解説します。
【結論】メタルポジションはカセットテープで最も高音質な規格

メタルポジション(TypeIV)は、カセットテープの4種類ある規格の中で最も高い音質性能を誇る最高峰規格です。
通常のカセットテープ(ノーマルポジション)が酸化鉄を磁性体として使用するのに対し、メタルポジションは純金属粉末(主に純鉄)を磁性体として採用しています。
この違いが音質に圧倒的な差をもたらします。高域特性・ダイナミックレンジ・磁気特性のすべてにおいて他のポジションを凌駕し、プロ仕様の録音にも対応できる性能を持ちます。
1978年11月21日に住友スリーエム(Scotchブランド)が業界初のメタルテープ「METAFINE」を発売し、翌1979年5月10日にTDK(MA-R)とSony(METALLIC)がほぼ同時に国産メタルテープを発売して以降、各メーカーが競い合うように高品質なメタルテープを製品化し、カセットテープ文化の最高峰を形成しました。
30秒で分かるメタルポジションの要点
- カセットテープには4種類のポジション(TypeI〜TypeIV)があり、TypeIVがメタルポジション
- 磁性体に純金属粉末を使用し、他のポジションより高い磁気特性を実現
- バイアス電流・イコライザー設定が特殊なため、対応デッキが必要
- 現在は新品の製造・販売は行われておらず、中古市場でのみ入手可能
- 未開封品でも経年劣化があるため、保管状態の確認が重要
この記事で分かること
この記事を読むことで、以下の内容を体系的に理解できます。
- カセットテープのポジション規格の基礎知識と4種類の違い
- メタルポジションの技術的特徴と音質面の優位性
- 手持ちのテープがメタルかどうかを見分ける方法
- メタルテープを正しく再生するためのデッキ確認と設定方法
- 製造終了の経緯と現在の入手方法・価格相場
- 長期保管のための正しい管理方法
- 代表的なブランドの特徴比較
カセットテープの「ポジション」とは?4種類の違いを基礎から解説

カセットテープを語る上で「ポジション」は最も基礎的かつ重要な概念です。
ポジションを理解すれば、テープの選び方・デッキの設定・音質の違いがすべてつながって見えてきます。
まずはポジションの定義から、4種類の分類まで基礎からしっかりと押さえましょう。
ポジション=磁性体の種類を示す規格
カセットテープの「ポジション」とは、テープに塗布されている磁性体(磁気記録に使われる粉末素材)の種類を示す規格のことです。
磁性体の種類が異なると、最適なバイアス電流の値とイコライザー特性も変わります。
バイアス電流とは録音時に信号に重ねる高周波電流のことで、テープの磁性体に合わせた適切な値を設定しないと、音が歪んだり高音が失われたりします。
またイコライザー(EQ)とは再生時の周波数補正のことで、ポジションごとに「70μs」や「120μs」といった異なる時定数が規定されています。
つまりポジションは単なる「グレード」の表示ではなく、録音・再生の電気的設定と密接に連動した技術規格なのです。
4つのポジション一覧(TypeI〜TypeIV)
IEC(国際電気標準会議)が規定するカセットテープのポジションは以下の4種類です。
- TypeI(ノーマルポジション):酸化第二鉄(γ-Fe₂O₃)または酸化鉄・コバルト被着酸化鉄を使用。最も一般的で低コスト。バイアス:標準、EQ:120μs
- TypeII(ハイポジション / クロムポジション):二酸化クロム(CrO₂)またはコバルト被着酸化鉄(擬似クロム)を使用。ノーマルより高域特性に優れる。バイアス:高め、EQ:70μs
- TypeIII(フェリクロームポジション / FeCr):酸化鉄とクロムの2層構造。製品数が少なく市場から早期撤退。バイアス:標準、EQ:70μs
- TypeIV(メタルポジション):純金属粉末(主に純鉄)を使用。全ポジション中最高の磁気特性。バイアス:非常に高め、EQ:70μs
なお、TypeIII(FeCr)は1980年代前半にほぼ市場から姿を消しており、現在流通しているカセットテープの大半はTypeI・TypeII・TypeIVのいずれかです。
ノーマル・ハイポジ・メタルの違いを比較表で整理
主要3ポジションの違いを以下の比較表で整理します。
| 項目 | TypeI(ノーマル) | TypeII(ハイポジ) | TypeIV(メタル) |
|---|---|---|---|
| 磁性体 | 酸化鉄系 | CrO₂/コバルト被着 | 純金属粉末(純鉄など) |
| バイアス電流 | 標準(100%) | 標準の約130% | 標準の約160〜180% |
| イコライザー | 120μs | 70μs | 70μs |
| 高域特性 | 普通 | 良好 | 非常に優れる |
| ダイナミックレンジ | 標準 | やや広い | 最も広い |
| 抗磁力(Hc) | 約300〜400 Oe | 約500〜600 Oe | 約900〜1100 Oe |
| 価格帯(当時) | 低価格 | 中価格 | 高価格 |
| 現在の入手性 | 一部新品あり | 一部新品あり | 中古のみ |
抗磁力(Hc)とは磁性体が磁気を保持する力の指標で、値が高いほど高周波信号の記録・再生に有利です。
メタルテープの抗磁力はノーマルの約3倍に達しており、これが音質差の根本的な原因となっています。
メタルポジション(TypeIV)の技術的特徴と音質の秘密

メタルポジションが他のポジションと一線を画す理由は、単に「高級品だから」ではありません。
磁性体の物理的・化学的特性が根本から異なることによる、技術的必然の結果として最高音質が実現されているのです。
純金属磁性体がもたらす圧倒的な性能
ノーマルやハイポジで使われる磁性体は酸化物(酸化鉄や二酸化クロム)ですが、メタルテープでは酸化されていない純粋な金属粉末(主に純鉄: Fe)を磁性体として使用します。
金属そのものは酸化物と比較して飽和磁化(Bs)が著しく高く、より強い磁気信号を記録できます。
純鉄の飽和磁化は約2.15テスラで、酸化第二鉄(約0.5テスラ)の約4倍以上の値を持ちます。
また粒子を極めて微細に製造できるため、高周波信号(高音域)の記録に必要な短波長記録が容易になります。
ただし純金属粉末は非常に酸化しやすいという弱点があります。そのためメタルテープの製造には粒子表面を酸化防止コーティング処理する高度な技術が必要で、これが価格の高さの一因でもありました。
音質面のメリットを数値で比較
メタルポジションの音質上のメリットを、ノーマルテープと比較した数値で見ていきましょう。
| 音質指標 | TypeI(ノーマル)比較値 | TypeIV(メタル)比較値 |
|---|---|---|
| 最大録音レベル(MOL) | 基準(0dB) | 約+6〜8dB向上 |
| ダイナミックレンジ | 基準 | 約6〜10dB広い |
| 高域周波数特性(15kHz付近) | 基準 | 約3〜5dB向上 |
| 歪み率(3%歪みレベル) | 基準 | 約6dB高い余裕 |
| 感度(再生出力) | 基準 | 同等〜やや高い |
特に重要なのがMOL(Maximum Output Level:最大出力レベル)の向上です。
MOLが高いということは、大きな音量を歪みなく記録できることを意味します。ライブ音源のような激しい音楽でも飽和しにくく、録音の「頭打ち感」が大幅に軽減されます。
ダイナミックレンジが約6〜10dB広いとは、静かな音から大きな音までの表現幅が2〜3倍以上広がるということを意味します。クラシック音楽やジャズの繊細な強弱表現が活きてきます。
メタルテープが「最高峰」と呼ばれる理由
メタルテープが最高峰と評価される理由は、技術的優位性だけでなく、その当時の開発コスト・製造難易度・市場価格にも表れています。
1979年当時、TDKの初代メタルテープ「MA(Metal-Alloy)」C-60は1本2,000円以上と、ノーマルテープの5〜6倍の価格で販売されていました。
各メーカーはメタルテープのフラッグシップモデルに最高の技術を投入しました。ハーフケースには厚みのあるアクリルや高剛性プラスチックを採用し、テープのガイドやハブにも精密加工品を使用するなど、本体の機械的精度も追求されました。
音質・価格・製造技術・メカニカル品質のすべてにおいてカセットテープの頂点に立っていたことが、「最高峰」という評価の根拠です。
また、高性能なデッキとメタルテープの組み合わせにより、当時の安価なオープンリールテープに匹敵するほどの音質が実現できると言われ、カセットというフォーマットの可能性を極限まで引き出した存在でもありました。
メタルテープの見分け方|手持ちのカセットを確認する方法

古いカセットテープを整理していて「これはメタルテープだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか?
メタルテープには複数の識別手段があり、実物を手に取れば比較的簡単に判別できます。
テープ本体・ハーフケースの表記で判別する
最も確実な判別方法はハーフケース(カセットの外側プラスチック部分)に印刷・刻印されている表記を確認することです。
- 「METAL」または「Metal」の文字表記:ハーフケース正面または背面に明記されています
- 「TypeIV」または「Type IV」の表記:IECのポジション分類番号が記載されている場合があります
- メーカー独自の商品名:「MA」「MA-X」(TDK)、「Metal Master」(Sony)、「MX」(Maxell)など、メタルテープは商品名でも判別できます
- テープの色:メタルテープのテープ磁性面はやや黒みを帯びた濃いグレー〜黒っぽい色をしていることが多い(ただし製品により異なる)
なお、ラベルが剥がれていたり表記が薄れている場合は、テープの外観(色)や後述するマークで判断します。
TypeIVマーク・METALロゴの見つけ方
IEC規格では、カセットテープのポジションをハーフケースの穴(センシング・ホール)の有無と位置で自動検出できるよう定められています。
カセットハーフの底面(テープが出ている側の反対)を見ると、左右に複数の小穴があります。
- TypeI(ノーマル):センシングホールなし
- TypeII(ハイポジ):右側に1穴あり
- TypeIV(メタル):左側に1穴あり(右側の穴はない場合が多い)
この穴は対応デッキのセンサーが読み取ってポジションを自動判別するためのものですが、人間が目視でも確認できるため、ラベルが不明なテープでもポジション判別の手がかりになります。
また、ハーフケースには「METAL」と大きく印刷されたロゴが入っていることが多く、ノーマルやハイポジと一目で区別できるデザインになっているものが大半です。
メタルポジション対応デッキの見分け方と再生方法

メタルテープの性能を最大限に発揮するには、TypeIV(メタル)対応のカセットデッキが必要です。
非対応のデッキでも一応再生できますが、正しい音質が得られず、最悪の場合はデッキやテープにダメージを与える可能性もあります。
対応デッキを確認する手順(TypeIV/METALセレクター)
お手持ちのカセットデッキがメタルポジションに対応しているかを確認する手順を紹介します。
- デッキ本体のテープセレクター(テープタイプ切替スイッチ)を確認:「METAL」「TypeIV」「MetalPosition」などの選択肢があれば対応機種です
- テープカウンター付近のインジケーターを確認:自動判別機能搭載機では、テープを挿入した際に「METAL」が点灯するか確認します
- 取扱説明書で確認:仕様欄に「Tape Type: Type I / II / IV」と記載があればメタル対応です
- モデル名で検索:メーカーサイトやオーディオ情報サイトでモデル名+「metal」で検索して仕様を確認します
一般的に、1979年以降に製造された中級以上のカセットデッキの多くはメタル対応ですが、廉価機や1979年以前の機種は非対応のものがほとんどです。
再生時の設定方法と注意点
メタルテープを再生する際の正しい設定手順は以下の通りです。
- テープポジションを「METAL」または「TypeIV」に設定する(自動判別機能がある場合は自動設定されます)
- イコライザーは70μsに設定(通常はMETAL選択時に自動切替)
- ドルビーノイズリダクションの設定は録音時の設定に合わせる(録音なしならOFF)
- 録音する場合はバイアス電流がMetalPosition用に自動調整されることを確認
注意点として、中古で入手したメタルテープには録音済みのものも多いですが、ポジション設定さえ正しければ再生は問題ありません。
また、長期保管されていたテープはヘッドの汚れを引き起こしやすいため、再生前にクリーニングカセットでヘッドを清掃しておくことを強くお勧めします。
非対応デッキで再生するとどうなる?
メタルテープを非対応デッキで再生した場合、主に以下の問題が発生します。
- 音質の劣化:ポジション設定がノーマル(TypeI)のままだとイコライザーが120μsになるため、高域が過剰に持ち上がり、シャリシャリとした不自然な音になります
- 再生ヘッドの摩耗加速:メタルテープの磁性体粒子は硬度が高く、非対応デッキの柔らかいヘッド材では摩耗が加速する場合があります
- 録音は不可:バイアス電流が不足するため正常な録音ができず、音が歪んだり著しく感度が低下します
再生のみであれば設定を「ハイポジ(TypeII)」に合わせることで比較的近い音質で聴けることもありますが、最良の音質を得るには必ずメタル対応デッキを使用してください。
メタルテープはなぜ製造終了した?希少性が高まる背景

かつては各メーカーが競い合っていたメタルテープですが、現在では新品を手に入れることはほぼ不可能です。
その背景には、技術の進歩と市場の変化という大きな流れがありました。
CD普及による需要減少の歴史
1982年にCDが登場して以降、音楽メディアの主流は急速にアナログテープからデジタルディスクへと移行しました。
特にメタルテープのユーザー層であった高音質志向のオーディオファンこそ、CDの圧倒的な音質・利便性にいち早く移行する傾向がありました。
1990年代にはMDが普及し、さらにカセットテープへの需要は低下。メーカー各社は製品ラインナップを絞り込み始め、製造コストが高く需要の低いメタルテープから順次撤退していきました。
主なメーカーの生産終了時期の目安は以下の通りです。
- Maxell:1990年代後半にMetal Vertexなど高級メタルテープの生産を終了
- TDK:MA-XGなど最高級グレードは1990年代後半に終了、MA自体も2000年代初頭に生産終了
- Sony:Metal Masterは1990年代後半、その後メタルシリーズ全体を段階的に終了
- That’s(太陽誘電):2010年代に一般カセットテープの生産を終了(メタルはそれ以前に終了)
現在は新品製造ゼロ—入手困難な理由
2026年現在、メタルポジション(TypeIV)のカセットテープを新品で製造・販売しているメーカーは世界に存在しません。
カセットテープそのものはナノ・ローやURなどノーマルポジションを中心に一部メーカーが製造を続けていますが、製造コストが高く需要の見込めないメタルテープの復刻には現時点でどのメーカーも踏み切っていません。
入手困難な主な理由は以下の通りです。
- 純金属粉末磁性体の製造技術・設備の喪失:製造ラインを解体・廃棄してしまったメーカーが多く、設備再稼働には莫大なコストがかかります
- 需要予測の不確実性:高コストで販売できる市場規模が限定的であるため、投資回収が困難です
- 原材料調達の問題:特殊な純鉄粉末の安定供給ルートが失われています
現在入手できるメタルテープはすべて過去に製造・販売されたデッドストック(新品未開封の在庫品)か、すでに一度使用された中古品のいずれかとなっています。
メタルテープの正しい保管方法|劣化を防ぐ3つの原則

希少性の高いメタルテープを長く良い状態で保つには、正しい保管方法の実践が不可欠です。
磁気テープの劣化要因は主に温度・湿度・磁気の3つで、これらを適切に管理することが重要です。
温度・湿度・磁気の管理ポイント
【温度管理】
推奨保管温度は10〜25℃です。高温(特に35℃以上)はテープのバインダー(磁性体を結着する接着剤成分)の劣化を促進し、「スティッキー・シェッド症候群」(テープがベタつき再生不能になる症状)を引き起こします。
直射日光が当たる場所・車のトランク・暖房器具の近くには絶対に保管しないでください。
【湿度管理】
推奨相対湿度は40〜60%RHです。高湿度(70%以上)はカビの発生やバインダーの加水分解を引き起こします。乾燥しすぎ(30%以下)もテープの脆化を招くため、適度な湿度管理が必要です。
密閉容器に乾燥剤(シリカゲル)を入れて保管する方法が有効ですが、乾燥剤を交換しないまま放置すると逆に過乾燥になる場合があるため定期確認が必要です。
【磁気管理】
強力な磁場の近くに保管すると録音内容が消えたり劣化します。スピーカー・モーター・変圧器・テレビ(ブラウン管型)から30cm以上離して保管してください。
スマートフォンや一般的な電子機器の磁場は微弱なため、通常は影響ありません。
経年劣化のサインと対処法
メタルテープの経年劣化には以下のようなサインがあります。
- テープのベタつき(スティッキー・シェッド):指で軽く触れるとベタっとする。このまま再生するとヘッドに磁性体が付着して再生不能になります。対処法:55〜70℃のオーブンで6〜12時間ベーキング処理(専門的な修復手法)
- 白い粉状の付着物:バインダーの分解物。ヘッドクリーニングを必ず行い、録音内容の確認は慎重に
- 巻き不良・よれ:早送り・巻き戻しで解消できる場合もありますが、無理に再生しないこと
- カビの発生:黒や緑の斑点。クリーニングで除去できる場合もあるが、テープ全体に及ぶと廃棄を検討
劣化サインが見られる場合は、デジタル化(PCへの取り込み)を最優先で検討してください。再生可能な状態のうちに音声データとして保存しておくことが、貴重な録音内容を守る最善策です。
代表的なメタルテープ銘柄5選

各メーカーが威信をかけて開発したメタルテープの名機を紹介します。
これらのブランドはオーディオファンの間で今も語り継がれる伝説的な製品です。
TDK MA・MA-XG
TDK MA(Metal-Alloy)は1979年に世界初のメタルテープとして登場した記念碑的存在です。
初代MAはオーディオファンに衝撃を与え、カセットテープの可能性を大きく広げました。
その後、TDKはMAシリーズを継続的に進化させ、究極グレードとしてMA-XG(「XG」の正式な展開表記は公式資料に記載がなく「Xtreme Grade」は未確認)を発売。
MA-XGはテープ性能だけでなく、ハーフケースにも精密加工のアルミダイキャスト部品を使用した超高級仕様で、当時の定価はC-60で約3,000〜4,000円に達しました。
特に後期のMA-XG(1990年代版)はカセットテープの歴史上最高水準の製品の一つとして評価されています。
SONY Metal Master・Metal-ES
Sony Metal Masterは、Sonyが製造したメタルテープの最高峰グレードです。
透明なクリスタルハーフに金属パーツを組み合わせた美しいデザインで、機能美の極致とも言える製品でした。
特に「Supraxenon Metal Master」(1990年代前半)はSonyのメタルテープ技術の集大成で、測定特性・音質ともに高い評価を受けました。
Metal-ES(ES=Excellent Sound)はMetal Masterの普及グレードに相当し、入手しやすい価格帯で優れた音質を提供していました。
中古市場ではMetal Masterは特に人気が高く、状態の良いものには高値がつく傾向があります。
Maxell Metal Vertex・MX
Maxell MXシリーズは、Maxell(日立マクセル)を代表するメタルテープで、長年にわたってオーディオファンに愛用されました。
特にMX-Sはその高い録音性能と安定したテープ走行性能で定評があり、録音専用テープとして選ぶユーザーも多かったです。
Metal VertexはMaxellのメタルテープ最高峰グレードで、精密なハーフ設計と高性能磁性体の組み合わせにより、当時の測定では他社の最高峰モデルと比較しても遜色ない性能を発揮しました。
Maxellのメタルテープは品質の安定性が高く評価されており、中古市場でも安定した人気を誇ります。
その他の名機(DENON・That’s)
DENON(デノン)のメタルテープDX7・DX8シリーズは、DENONの高い音響技術を背景に開発されました。
DX8は同社の最高峰グレードとして、プロユースにも対応できる高品位な性能を持っていました。オーディオメーカーならではの音作りで独自のファンを持ちます。
That’s(ザッツ)は太陽誘電グループのカセットテープブランドで、Metal Run・MR-Xなどのメタルテープシリーズを展開しました。
コスパの高さと品質安定性で支持されたブランドで、現在では希少性が高まっており、オークションでも注目されています。
メタルテープの入手方法と中古相場の目安

メタルテープを実際に入手したい場合、現在利用できる購入手段とおおよその価格帯を把握しておくことが重要です。
状態・銘柄・本数によって価格は大きく変動するため、相場感を持ったうえで購入を検討しましょう。
主な購入先(フリマ・オークション・中古店)
- ヤフオク!:メタルテープの出品数が最も多く、まとめ売りから1本単位まで幅広く対応。希少銘柄も出品されることがあります
- メルカリ:個人出品が多く、比較的割安なものが見つかることも。ただし状態確認が重要です
- eBay(海外):海外からの輸入という手段もあります。日本では入手困難な銘柄が見つかる場合がありますが、送料・関税に注意が必要です
- ハードオフ・オーディオユニオンなどの中古オーディオ専門店:実物の状態を確認して購入できる安心感があります。ただし店頭在庫は少なく、見つけたら即購入がおすすめです
- フリーマーケット・骨董市:稀に未開封の新品デッドストックが出品されることがあります
価格帯の目安と購入時の注意点
2026年現在の中古市場での参考価格帯は以下の通りです(状態・時期によって変動します)。
| 状態・グレード | 目安価格(1本) |
|---|---|
| 使用済み・普及グレード(MX、MA初期など) | 200〜800円程度 |
| 使用済み・高級グレード(MA-XG、Metal Masterなど) | 500〜2,000円程度 |
| 未開封・新品デッドストック(普及グレード) | 1,000〜3,000円程度 |
| 未開封・新品デッドストック(最高級グレード) | 3,000〜10,000円以上 |
| 希少銘柄・コレクター向け(まとめ売り含む) | 応相談(高値になりやすい) |
購入時の注意点
- テープのカビ・ベタつきを確認:出品者に写真提供を依頼するか、実物確認できる店舗を優先
- ハーフの割れ・変形チェック:ハーフが破損しているとテープ走行に支障が出ます
- 録音済みか未使用かの確認:録音済みでも上書き可能ですが、コレクターには未録音(バージンテープ)の方が需要があります
- 複数本まとめ購入でのコスパ向上:1本単価より、まとめ売りを狙う方が割安なケースが多いです
メタルポジションに関するよくある質問
メタルポジションについてよく寄せられる疑問にお答えします。
Q1. メタルテープは今でも録音に使える?
Q. メタルテープは今でも録音に使えますか?
A: メタル対応デッキさえあれば今でも録音に使えます。ただし経年劣化によりテープ性能が落ちている場合があるため、まず再生テストを行い、テープの状態を確認してから録音用途に使用することをお勧めします。
Q2. ハイポジとメタル、どちらを選ぶべき?
Q. ハイポジとメタル、どちらを選ぶべきでしょうか?
A: 純粋な音質重視ならメタルです。ただしハイポジ対応のみのデッキしかない場合はハイポジを選んでください。入手しやすさとコスパも考えるなら、状態の良い新品ハイポジ(Casetteテープ)の方が現実的な選択肢となる場合もあります。
Q3. 未開封でも劣化している可能性はある?
Q. 未開封品なら劣化していないと考えていいですか?
A: 未開封でも劣化は進みます。特にバインダーの加水分解(スティッキー・シェッド)は未開封状態でも発生します。製造から30年以上経過した製品では、開封して状態を確認してから使用することをお勧めします。
Q4. メタルテープの復刻・再生産の可能性は?
Q. メタルテープが復刻・再生産される可能性はありますか?
A: 2026年時点では、主要メーカーによるメタルテープの復刻・再生産の公式発表はありません。カセットテープ全体のリバイバルブームによりノーマルポジションの製品は一部復活していますが、製造コストの高いメタルポジションの商業的復刻は現状では難しいと考えられています。
まとめ
メタルポジション(TypeIV)についての重要ポイントを整理します。
- メタルポジションはカセットテープ4規格中の最高峰で、純金属磁性体の採用により他のポジションを凌駕する音質性能を実現しています
- 再生には必ずメタル対応デッキが必要で、ポジション設定を正しく行うことが最高音質を引き出す前提条件です
- TDK MA/MA-XG、Sony Metal Master、Maxell Metal Vertexなど各社の名機が存在し、それぞれ個性的な音質と高い完成度を持ちます
- 2026年現在は新品製造ゼロのため入手は中古・デッドストックのみ。ヤフオク・メルカリ・中古オーディオ店が主な購入先です
- 適切な保管(温度10〜25℃・湿度40〜60%・磁場から隔離)が希少なテープを長く守るための基本です
カセットテープ文化の頂点に立つメタルポジションは、アナログオーディオの魅力を最大限に体験できる特別な規格です。
もし手持ちのカセットデッキがメタル対応であれば、ぜひ一度本物のメタルテープを手に入れて、その音質を体験してみてください。
デジタル時代に改めてアナログの豊かさを感じることができるはずです。


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